「私のくらし」や「私の暮らすまち」を豊かにするための学びの場を食育を中心にコーディネートしているNPOです

会場とスクリーン講座中のPC画面(新潟大学の実証田)

4月25日(日)14:00~17:00

報告者:菅野正寿さん(福島県二本松市・農家民宿『遊雲の里ファーム』主宰、福島県有機農業ネットワーク前理事長)

林薫平さん(福島大学農学群食農学類農業経営学コース准教授)

コーディネーター:行友弥さん(農林中金総合研究所特任研究員)

<シンポジウム報告>

CSまちデザインでは、2011年3月11日の東日本大震災、ならびに東京電力福島第一原子力発電所の事故直後に緊急シンポジウムを実施して以降、毎年「福島応援講座・イベント」「福島スタディツアー」などの活動を継続してきました。丸10年が過ぎた今、これまでの10年を振り返ると共に現状を共有し、これからの10年に私たち一人ひとりが何をすべきかについて考えることを目的に、現地福島とオンラインでつなぎシンポジウムを実施しました。

まずは近藤理事長からこの10年のCSまちデザインの取り組みについて報告。続いてシンポジウムのメインゲスト林薫平、菅野正寿両氏からお話しいただきました。その後、行友弥理事よりの福島の農業・農村の現状についての解説を経て、参加者の質問にお答えいただくと共に、飯舘村からのスペシャルゲスト長正増夫さんと菅野宗夫さんお二人からも発言をいただきました。

都市に住む私たちが「自分事」として考え行動するとはどういうことなのか…まずは知ること、そして福島に出かけて自分の目で見ることからしか始まらないのだと、参加者の皆様に感じていただけたシンポジウムとなりました。

「福島の問題にしないで! 連携の力で「真の復興と廃炉の両立」を」 

福島大学の林薫平先生から、福島の漁業者が試験操業を地道に進め、いよいよ本格操業というところまできたことが報告されました。しかし、処理水の海洋放出決定は、これまで積み上げてきたものを振り出しに戻しかねないものであり、福島の問題にするのではなく、国民全体で考えるべき問題であると強く発言されました。

「山の再生、都市と農村をつなぐコーディネートがこれからの課題」

菅野正寿さん(NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会 遊雲の里ファーム)は原発事故直後から、農業者と大学などとの協働により、耕しながら課題を解決してきたことを報告くださいました。コロナ禍で耕したいという消費者が増えており、マッチングの大切さも語ってくださいました。

「地域住民の組織を原動力にして、いろいろな活動をすることが大事。高齢者には、長年かけてつくった技術や忍耐力がある」長正増夫さん(飯舘村 大久保外内行政区長)

 「コミュニティの再構築が大事。どうすれば次世代につなげられるか、それは福島だけでない共有の問題」菅野宗夫さん(NPO法人ふくしま再生の会 副理事長、飯舘電力㈱ 社長)

 

<参加されたかたのアンケートより一部紹介>

・処理水の放出の問題について、10年かけて作ってきた信頼関係を1から作り直さなければならない問題だという林先生のお話に、ニュースからは見えてこないこの問題の背景を知ることができました。菅野さんのお話の中にあった地域住民主体の組織や協働の大切さは、普遍的な課題だと思います。実践されてきた方から発せられる提起だからこその重みがありました。コロナ禍において、ついつい目先の課題を考えるばかりの日々ですが、コロナ前から続いている事柄に改めて目を向けなければと反省した次第です。

・アンダーコントロール。汚染水一つ取っても違うのに。私の国をこれ以上傷つけさせない!!という気概を持って頑張ります。

・「復興と廃炉の両立」を何も考えずに受け止めていたが、林先生の説明で政府のプロパガンダであることを知り、事実を知らせようとしない姿勢がここにも表れていることに怒りを感じる。また、脱炭素社会に向けて、原発による発電比率を高めることの必要性が報道されていたが、これだけの事故を起こした反省が微塵も感じられないことにも怒りを感じる。

・起きている問題(原発災害やトリチウムの問題など)は、被害を受けている福島のみの問題ではなく、原因をつくっている、あるいは対応の責任があるという意味での日本全体にとっての問題である、という長正さんや林先生のお言葉で、自分自身も問題を福島問題に矮小化していることに、改めて気づきました。

・ややもすると対立構造になる生産者と流通業界、消費者がタグを組んで復興操業に向かっている姿が目に見えて大変力強く感じました。生活者、消費者としてしっかり生産者を「土」「海」ともに支えていきたいと思いました。

東日本大震災ならびに東京電力福島第一原子力発電所の事故から丸10年。CSまちデザインではこの間毎年、「福島応援講座」を実施し、現地へのスタディツアーを行ってきました。10年の節目にあらためてあの事故を「自分事」として捉え直し、「脱原発」に向けてどう行動すべきか考えます。報告者のお二人に福島の「土」と「海」の今とこれからについてお話しいただくと共に、現地とオンラインでつなぎ、ゆかりの方たちからもメッセージをいただく予定です。

<参加されたかたのブログ紹介>

CS会員である中田哲也さんがご自身のブログで、シンポジウムの内容を細かくご紹介くださっています。ご覧ください。

https://food-mileage.jp/2021/04/27/blog-313/

<コーディネーター行友弥さんのコメント> 5月15日CSメルマガ掲載

「忘れていい」と「来てほしい」の間で~原発事故から10年 行友 弥

東日本大震災と福島第一原発事故から10年が過ぎました。私は仕事で福島に通っていますが、旧避難指示区域の農地などに積み上げられた除染廃棄物の袋もかなり減り、見た目の上の「復興」はずいぶん進んだように思います。

昨年、現地のある農業者に「首都圏では原発事故が風化している」と言ったら「忘れてくれて構わない。それが人間だから。人は、それぞれ与えられた場所で花を咲かせるしかない」という答えが返ってきました。

その言葉に胸を突かれながら「首都圏の住民に伝えたいことはないか」と尋ねると、彼は「できればここへ来て、暗い面も明るい面も見てほしい。そして、エネルギー政策などを話し合う材料にしてくれたら」と言いました。

「忘れていい」と「来てほしい」は矛盾していますが、どちらも本音だと思います。前者は「いつまでも『被災者』という立場に甘んじていられない」という覚悟。後者は「我々の経験を無駄にしないで」というメッセージ。私は、そう受け止めました。

各地で原発の再稼働が進められ、福島の事故を受けて定められた「運転40年で廃炉」の原則も骨抜きにされています。やはり、忘れるわけにはいきません。一緒に見て、考えていきましょう。


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